❅·̩͙10 ページ10
夕陽が落ちるのがだんだんと遅くなってきた。
太陽が沈まなきゃ月は出てこられないから
私はこの太陽が落ちる瞬間を見るのも好きだ。
ご飯が出来るまでの間、窓辺の椅子に座って
ぼーっと外を見ていたら甘い香りが鼻を掠めた。
少しだけ口を尖らせた渡辺だった。
ふっかの横でゲームにちゃちゃを入れていたのに
それには飽きたらしい。
「…何?邪魔?」
『ちげーよ。別に邪魔じゃない』
ちょうど太陽が消えそうなのに。
『俺のことめっちゃ拒否ったのに
めめにはついてきたんだと思って。やっぱ顔?』
椅子の肘置きに腰を置いた。
私を見下ろすその顔に影が差している。
「顔とか関係ない。それに渡辺はいっぱい連れ込んでるらしいし
いいじゃん。私ぐらい拒否っても」
『…あの日めめとそんなに喋ってなかったのに
何で仲良くなったの?』
イマイチ噛み合ってる気がしない私たちの会話。
痛いとこつくのが、お互い上手いのかも。
昨日海で会ったからと言えば唇の尖りが鋭くなった。
確かに、本当に1ミリも顔は関係ないかと聞かれたら
自信を持って首を降ることは出来ない。
少なからず今まで見た人類で
一番顔が整っていると思ったのは事実で
綺麗な夜空を見せたいという彼のありがた迷惑な行為に
のこのこついてきたのも事実。
『俺の方が早く出会ってんのに、なんかむかつく』
「別に目黒目的で来たわけじゃないから。
夜空見に来ただけで、今日だけだから」
『じゃー俺も一緒に見に行くわ。今日月出んの?』
「…寒いし興味無いならつまんないと思うよ、部屋いなよ」
やだ、と言う渡辺は駄々っ子みたい。
綺麗な顔で私をじーっと見つめる。
いいよと言うまで視線は外されなさそう。
宮「ねぇ翔太、暇なら手伝ってくんない?
唐揚げ油の中ほりこんでよ」
…ナイス、だて。
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hrr - おもしろくて一気読みしました!続き楽しみにしています! (4月10日 14時) (レス) id: 5934ce0412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カジャ | 作成日時:2024年3月20日 19時