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向井が揃った。
動かない表情で彼が大声を出す。
深「しつけぇな、これで全員って言ってんの!」
「 じゃあこいつは何なんだよ、笑 」
危険と分かりながら、自分のことだと知って足が勝手に動いた。
向井と駆け上がった階段を降りて
人の引いた靴箱に身を潜める。
さっきよりも会話が聞こえる。
深「俺ら女の子にモテるから、遊んだうちの一人だって。
大して経験ないオッサンには分かんないかもだけどさ。
あー、だから理解できなくて何回も聞くわけ?
モテないって辛いね、ねーなべ」
『ねー、俺らが紹介してやろうか?』
挑発が上手。
絶妙にむかつくふっかのニタニタ顔がいい味してる。
深「用事、ないなら帰ってよ。ここ学校だからさあ。
いい大人が朝っぱらから乗り込んで恥ずかしくねぇの?
相手してほしいならまたアジト来れば?
俺のとこまで辿り着けるもんならね」
聞いていて気持ちいい言いっぷりに夢中になっていた。
背後から忍び寄る影に気づかずに。
肩に感じた感触に違和感を覚え、振り返る。
さっき向井が追い払った奴が私に向かって手を伸ばした。
人並みの反射神経しか持たない私は咄嗟に身を引いたが
この後どう行動すればこいつから逃げられるのか分からない。
その下卑た笑みはデフォルトか?
なぜそんなに私に執着する。
「 俺の事覚えてないの?
あーんなにロマンチックな場所でナンパしたのに 」
外出が好きでない私は、行く場所が限られる。
ロマンチックな場所なんて…
(( こんな時間に何してんの〜? ))
ああ、あいつか。
あの時は暗くてよく見えなかった。
立ち去った後のアルコールの匂いも
今目の前からするタバコの匂いも
その表情も行動も、何もかもが不快だ。
「 今日はあそこのオウジサマ、うちの頭に夢中で
助けてくれなさそうだね笑 」
「近づくな」
「 やだ、俺は君が目的で、頭も君をご所望なの。
深澤には相当恨み抱いてるから何とかあいつを叩きのめしたいんだよ。
そのために君っていう人質が要る」
「私を攫ってもあいつらにダメージはいかない。
あいつらの言う通り私はただの友達。
それも1度遊んだことがあるだけの」
「ならそれでもいいよ、俺と遊ぼ」
強引に腕が掴まれる。
性別の壁には抗えず、振り払えない。
「君が大人しく来てくれたら、俺ら帰るよ。
あいつらに手も出さない。……今はね 」
こうならないために彼らの家に転がり込んだはずだったのに。
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hrr - おもしろくて一気読みしました!続き楽しみにしています! (4月10日 14時) (レス) id: 5934ce0412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カジャ | 作成日時:2024年3月20日 19時