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❅·̩͙25 ページ25

食べ終わりました。
向井と目黒はまだ帰ってこないので
夜空を眺めつつ帰りを待とうかなと思って
昨日と同じく屋上に来た。



半月より更に少しだけ欠けた下弦の月。
これからどんどん細くなって、見えなくなってしまう。
月のない夜は寂しい。



目黒と向井はどこまで行ったのだろう。
そもそもなぜ。
犬のマーキングのよう、彼らの陣地も決まっていて
脅かした者は追い払いに行かなければならないのか。



ただバイクに乗って暴れ散らかせばいいわけでもないらしい。



『風邪ひくぞー』



後ろからブランケットが肩に乗せられた。
鼻を掠める甘い香り。



「わざわざどうもありがとう」


『食うの早くね?どこ行ったのかと思った』



振り返れば、今日はまだお風呂に入っていない様子の
渡辺が立ってた。
自分の方が薄着じゃん。



「目黒と向井、どこまで行ったの?」


『知らねー、その辺じゃね?』


「その辺ね」



ほら、くしゃみした。
隣に来て柵にもたれかかる渡辺に
少しだけブランケットをお裾分けする。



私としては結構勇気いる行動だったけど
渡辺はなんにも言わないでそのままの状態でいた。
やっぱり女慣れしてると違うらしい。



肩が触れないよう、ギリギリの距離を保って
そっちに意識がいかないよう夜空を見つめ続けていた。



『今更だけどさ、嫌じゃないの』



あ、触れた。



「何が?」


『大して知らない男9人と一緒に過ごすの。
しかも俺ら…あんまよくねぇし』


「良くない自覚はあるんだ笑」



バイクの音が遠くから聞こえた気がした。



「楽しいよ、賑やかで。
まさか白雪と関わるとは思ってなかったけど」



月から視線を外した。
代わりに隣の渡辺を視界に入れる。
彼は月を見ていて
少しだけ口角が上がっていた。



横顔も綺麗だな。
ちょっと影差してて、儚くて、切ない。



唐突にカラオケでのシーンが思い起こされた。
あの時の顔と同じだ。



「ねぇ」


『ん?』



私、渡辺のその顔好きだ。



「あれ歌って。カラオケで歌ってたやつ」


『なに急に笑 歌わねぇよ』


「…歌ってよ」



こっちを見た渡辺はさっきまでの儚さが消えてた。



バイクのライトが2つ。
並んでこっちに帰ってくる。



オレンジ色のヘルメットが隣に顔を寄せると
闇の色に溶けた黒の運転手が上を向いた。
大きく腕を振るから、反射的に振り返した。



『……〜♪ ためぐち、きいてたぼく』

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hrr - おもしろくて一気読みしました!続き楽しみにしています! (4月10日 14時) (レス) id: 5934ce0412 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カジャ | 作成日時:2024年3月20日 19時

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