佐久間さんちは今日も幸せ6

＊大人の証 ページ5

貫通した痛みもようやく落ち着いて、ベランダに出た俺はゆっくりとタバコの煙を燻らせた。


未だ熱を持つ耳朶を夜風が冷やしてくれるようで気持ち良い。


辰「は〜、初めて開けた時より緊張したわ」


照「あはは、そうか？」


ジュニアだった10代の頃は、ピアスをしてタバコを吸うことが大人の嗜みだなんて思ってたなぁ。


20代後半になってどちらも経験したけど、自分ではまだ大人になったという気はしない。


照「そういえばさぁ.......。ふっかってファーストピアス、遅かったんだよな」


辰「なんだよ急に」


照「お前が最初に開けたのって、成人してからじゃなかった？」


辰「そんな昔のことよく覚えてんな」


確かに俺のファーストピアスはハタチの時と、意外に遅かった。


ファンの子からはチャラそうだとかリアコだと言われてるけど、ピアスを開けるタイミングは慎重だったんだよな。


手摺りに寄り掛かった照と並んでタバコを吸いながら、ふいに10年近く前のことを思い出していた。

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