佐久間さんちは今日も幸せ6

＊初詣（しめしず） ページ25

Tiger洋菓子店は年明けの3日間は毎年お休みになっている。


1年を通じて忙しい店だから、せめてお正月くらいはスタッフを平等に休ませてあげようという、川島オーナーの粋な計らいだ。


川島と宮近はそれぞれの実家に帰省すると言っていたし、他の社員ものんびり過ごすと嬉しそうに話していた。


もちろん、アルバイトの吉澤と七五三掛も三ヶ日はシフトも休みだから、正月休みを楽しむつもりだった。









＊＊＊＊＊










七「閑也〜！早く早く！」


吉「待ってよ、しめちゃん。そんなに急いだら危ないよ！」


七「だって急がないと人がいっぱいになっちゃうじゃん！」


吉「元旦の神社なんて何時に行っても混んでるって。走って転んだら危ないし、ゆっくり歩こ？」


七「ん〜......だって早くおみくじ引きたいんだもん」


見た目に反して行動派のしめは、かなりせっかちな性格だ。


おまけに天然でおっちょこちょいときてるから、一緒にいることの多い俺は、いつもヒヤヒヤされられるんだよな。


閑「神社は逃げないんだから、焦らなくて大丈夫。ほら、参拝に向かう人も増えてきてるから、手を繋ごうよ」


七「うん.....」


俺の言葉に渋々と頷くしめの頭をポンと撫でると、はぐれないようにしっかりと手を繋いで歩き始めた。

2→←3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す