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少しの間隣の席の目黒くんと話してたら彼は部長たちに連れて行かれてしまって私は1人になった。
仕方なく枝豆を1人で食べてたら隣に深澤先輩が座った。
「よお。どうよ」
「…推し様不足で倒れそう」
「なんだよそれ〜俺がいるじゃんよ」
「…はは…」
深澤先輩は相変わらずずっと私を揶揄ってくる。
ああここに座ってこうやって口説いてきてるのが推し様なら…
いや、それは違うか。
そんなキャラの推し様想像できないもん。
「Aちゃんってさ。いっつも髪の毛縛ってるけど下ろさないの？」
「だって邪魔ですし。仕事中に顔の近くに毛があるのが嫌です」
「ふ〜ん。でも一回おろしたまま来てよ。会社」
「なんでですか。嫌ですよ」
「なべきっとニヤけると思うんだけどなぁ」
推し様の名前をそこで出すのはずるい。
推し様の名前出されちゃったら私が言われたことそのままやっちゃうこと知ってるくせに。
「…じゃあ一回だけ」
「お、楽しみ〜！Aちゃんってほんとかぁいいからさ〜見たかったんだよね〜」
「いや深澤先輩のためじゃないっすよ」
「んなことわかってるけどさ〜」
ほら飲め飲めとビールを注いでくれる深澤先輩。
酔ってることもあってかなんかいつもよりカッコ良く見える…気がする。
「なあにそんな目で見つめちゃって。惚れちゃった？」
「なわけ」
「知ってる。でもそうだなぁ。なべもいないしこのまま2人で抜け出しちゃう？」
そんなこと言われても困る。
静かに首を振って酔いを覚ましたいからとか嘘とも言えない嘘をついて少しだけお店の外に出てみた。
外はもう4月も終わるとおいうのに少し涼しくて。
熱を帯びてる体に当たって気持ちが良かった。
「…おいお前こんなとこで何してんだよ」
そう、私が幾度となく頭の中で再生している声が聞こえ、その方向を見て私は自分の目を疑った。
「…推し様…」
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 11時
